これまでの養殖産業にとって、ウニノミクスの持つ視点は革命的でした。

養殖産業のビジネスのあり方を根本的に見直すべく、生物学的、経済的、そして生態系などあらゆる課題を考慮し、対処しているからです。

 
仮根部から海藻を引き抜こうとしているウニ(写真提供:Chris Nelson)

仮根部から海藻を引き抜こうとしているウニ(写真提供:Chris Nelson)

ロブスターやカニ、鱈などの補食種を乱獲することで、ウニの爆発的増加を促し、豊かな海藻の森を滅ぼしてしまいます。

海藻の森を滅ぼし、そこに属する食物連鎖を崩した後、ウニは体内に保存したエネルギーを使いながら、新たな食材が育つか漂着するのを待ち続けるのです。

身の入っていない空のウニ(写真提供:林典子)

身の入っていない空のウニ(写真提供:林典子)

長い年月の間エサのない状態が続くと、ウニの身は減り、捕食種や人間にとって魅力を失ったウニとなります。

世界で高級食材の1つとされている「うに」とはかけ離れた「ウニ」。

もしこの問題を解決しなければ、豊かな海藻の森は再びウニに支配され、数十年、または何世紀にもわたって磯焼けの状態が続いてしまいます。新しい海藻の森を次々と荒廃させてしまうのです。


ウニノミクスによる解決策

海藻の再生

ウニを採獲するダイバー

ウニを採獲するダイバー

漁師、環境学者、科学者と協力し、生産性のない空のウニを見つけ除去に取り組んでいます。このウニ除去作業が、海藻の森が再生する手助けとなるのです。 

ウニが除去されると、本来の自然が戻り、海藻が育ち始めます。最短5日間ほどで、生まれたばかりの海藻は海底に定着し始め、種によっては1日で約45センチ、海面に届くまで成長するのです。

海藻の再生は、すべての環境システム再生のはじまりとされています。

海藻葉は、ウニの幼虫などを好んで食す微生物を魅了します。

これにより、ウニの数を自然でバランスのとれるように調整し、将来起こりうる爆発的なウニの増加を防ぎます。

この微生物は、代わりに、小さな魚のエサとなり、海藻の森は小さな魚の絶好の隠れ家となります。のちに、小さな魚は、より大きな魚のエサとなります。大きな魚にとって海藻の森は、大切な産卵の場です。

砂漠化し磯焼けした藻場は、このように元のダイナミックな海藻の森に戻ります。それと共に、海洋生物の個体数と種の多様性も著しく増加していくでしょう。


ウニの畜養

キタムラサキウニと配合飼料

キタムラサキウニと配合飼料

藻場から除去された空のウニは、弊社の陸上畜養施設に運ばれ、成長のため栄養バランスのとれた植物由来の飼料が与えられます。

身の詰まったウニ(写真提供:林典子)

身の詰まったウニ(写真提供:林典子)

6~10週間かけて給餌すると、ウニは丸々と太り、美食家が堪能できるほどに身が詰まってきます。


二酸化炭素結合と吸収

ウニを除去した後の海藻再生の様子: 9日経過(写真左)、24日経過(写真右)(動画提供:The Bay Foundation)

ウニを除去した後の海藻再生の様子: 9日経過(写真左)、24日経過(写真右)(動画提供:The Bay Foundation)

海藻の森は二酸化炭素結合と吸収のための有効な資源として、世界中の気象学者から再び注目を集めています。 海藻の再生は、様々な方法で大気中の二酸化炭素の結合と吸収に役立っているからです。

まず、砂漠化した藻場から海藻の森へのレジーム・シフトにより海藻の森の形成自体が二酸化炭素の吸収に繋がっています。

生き生きとした海藻の森 (写真提供:Chris Nelson )

生き生きとした海藻の森 (写真提供:Chris Nelson )

次に、海藻の森は、さまざまな種の海洋生物にとって格好の住処でもあり、食物資源でもあります。それぞれの新しい生命体が育ち住するこの森は、海洋生物による二酸化炭素結合の象徴なのです。

最後に、海藻は季節ごとに葉の大部分を落とし、それは深海へ向かって沈み、やがて海底に堆積します。科学者によると、この海藻による一環の活動が海の二酸化炭素吸収の大きな役目を果たしていると言われています。 


職を生む

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身の詰まっていないウニの除去は、陸上畜養施設での新たな職に繋がります。

それだけではなく、磯焼けの原因となるウニに占領され砂漠化していた漁場には魚が戻り、

沿岸地域に再び経済効果をもたらすことになります。

 有意義な職を生むことで、私たちは乱獲の根本的な原因である「経済面」と向き合うことにしました。

乱獲は悪循環です。乱獲がされている海域の沿岸漁業漁師は、生計を立てるため減り続けている数少ない魚を獲りに沿岸からより遠くまで行くことが余儀なくされています。

よりよい職の選択肢を提供することで、漁業状態の改善をしつつ、乱獲の長期的課題や磯焼けの根本的課題に向き合うこと。それが、弊社が目指している目標です。